「ITに投資したのに、会社の業績につながっていない」——そんな事態を防ぐ仕組みがITガバナンスです。経営層の視点でITの舵取りをする考え方と、その世界標準フレームワークCOBITを、内部統制との違いまで整理して学びましょう。
先生!
ITガバナンスって、こないだ習った内部統制と同じじゃないの?
どっちも『ちゃんと管理する』ってことでしょ?
ふふ、近いけど立っている場所が違うのよ。
内部統制が『現場の業務が正しく回っているか』を見るのに対して、ITガバナンスは『そのITが、そもそも経営の役に立っているか』を上から見るの。
上から…?
なんだか偉そうな響きですぅ
位置が上ってことね。
ITガバナンスは、ITの活用が会社のゴールにきちんと貢献するよう、経営者が責任を持って方向づける仕組みなのよ。
補足すると、主役が違うんです。
内部統制は現場や管理者が担いますが、ITガバナンスはCIOや経営層が担う責務です。
なるほど。
現場の『きちんとやる』が内部統制、社長クラスの『どこに投資する?』がITガバナンスってことか。
そう、いい整理ね。
たとえるなら、車が安全に走っているかを点検するのが内部統制、そもそもどこへ向かうかを決めるハンドル操作がITガバナンス、というイメージよ。
あっ、それなら腑に落ちますぅ。
点検と運転は別ですもんねぇ
じゃあ、その舵取りの『お手本』も紹介するわ。
世界標準のフレームワークがCOBITよ。
COBIT…呪文みたい。
何の略なの?
Control OBjectives for Information and related Technologiesの略です。
ISACAが策定しました。
最新は2019年版で、ガバナンスと管理あわせて40の統制目標で構成されています。
COBITとよく似た名前で、ITILっていうのも聞いた気がしますぅ…同じものですかぁ?
いいところに気づいたわね。
そこは混同しやすいの。
COBITは『経営目線でITを統制する』ためのもの。
一方ITILは『ITサービスの現場運用をうまく回す』ためのものよ。
覚え方は『COBITは経営の上から、ITILは運用の現場から』。
視点の高さで区別すると間違えにくいですよ。
上のCOBIT、下のITIL!
語呂よくて覚えられそうじゃん。
COBITが大事にしている循環も覚えておきたいわ。
経営層がやるべきことをEDMという3つの動きで表すのよ。
EDMって、音楽のジャンルかと思ってましたぁ…!
評価して、指示して、監視する、なんですねぇ
具体的な実践領域としては、IT投資評価、ITリスクマネジメント、ITポートフォリオ管理などがあります。
もう一つ、ISO/IEC 38500という国際規格もあるわ。
責任・戦略・取得・パフォーマンス・適合・人間行動の6原則ね。
経営者が自分の会社のITをちゃんと把握して、自分でハンドルを握る——今のDXの時代にドンピシャじゃん!
そうですね。
DX推進では、IT部門任せにせず経営者自身がITガバナンスの責任を負うことが、改めて重視されています。
まとめましょうね。
ITガバナンスは『経営目線でITを方向づける仕組み』、その世界標準がCOBIT、運用現場のITILとは視点の高さで区別する——この3点が押さえられれば合格圏よ。
確認クイズ
ITガバナンスのためのフレームワークとして最も適切なものはどれか。
- ITIL
- COBIT
- ISO 14001
- PMBOK
こたえを見る
正解: 2. COBIT
COBITはITガバナンスと管理のための世界標準フレームワークで、これが正解。ITILはITサービス運用のベストプラクティス集で視点が現場寄り、ISO 14001は環境マネジメントの規格、PMBOKはプロジェクトマネジメントの知識体系であり、いずれもITガバナンスの枠組みではない。