ITシステムを「安定して使い続けられる状態」に保つ仕組みが、ITサービスマネジメントです。その世界標準のお手本集であるITILを、身近なたとえと試験頻出ポイントから整理していきます。
せんせー、ITILって前にチラッと聞いたけど何の略だっけ?
なんか強そうな名前じゃん。
ふふ、強そうね。
ITIL、イギリス政府がまとめた「ITサービスをうまく運用するためのお手本集」よ。
お手本集…?
教科書みたいなものですかぁ?
近いですね。
補足すると、法律やルールではなく「こうやるとうまくいくよ」というベストプラクティス(成功事例のまとめ)です。
守る義務はなく、参考にする指針なんですよ。
料理でいえばプロのレシピ集ね。
その手本通りにIT全体を止めずに上手に回す活動をITサービスマネジメントと呼ぶの。
ITILはそのお手本なのよ。
現在の最新版はITIL 4です。
従来の「決められた手順をこなす」発想から、「顧客にとっての価値をみんなで一緒に生み出す」考え方へ大きく変わりました。
価値を一緒に生み出す…ちょっと難しいですぅ。
前のとどう違うんですかぁ?
ラーメン屋さんで考えてね。
昔のITILは『麺を茹でる→盛る→出す』の手順を守ること自体が目的になりがちだった。
ITIL 4は『お客さんが美味しいと喜ぶ』価値を、店員もお客さんも一緒に作るのがゴールよ。
なるほど、手順オタクにならず『結局お客さん喜んでる?』を見ろってことか。
で、具体的には何をやるの?
ITIL 4では活動がプラクティスという単位で34個に整理されています。
ただ試験で名前を問われる重要なものは限られていますよ。
安心して、全部は要らないわ。
試験頻出はこの5つよ。
インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、リリース管理ね。
インシデント…って何ですかぁ?
事件みたいで怖いですぅ。
「サービスが普段通りに使えない状態」のことです。
サイトが見られない、メールが届かない、といったトラブル全般ですね。
事故というより『困りごと』のイメージで大丈夫ですよ。
ここが試験の最重要ポイントよ。
インシデント管理は『とにかく早く復旧させる』のが目的。
問題管理は『同じトラブルが二度と起きないよう根本原因をつぶす』のが目的。
目的が違うの。
あ、あたしの部活と同じだ。
試合中に怪我したらまず応急処置でコート戻すじゃん?
それがインシデント管理。
あとで『なんで怪我した?
練習変えよう』が問題管理だよね。
めいさん、見事なたとえね。
応急処置と再発防止、とセットで覚えると忘れないわ。
じゃあ変更管理と構成管理は?
変更管理は本番環境への変更(新機能追加・設定変更・パッチ適用など)を、勝手にやらせず影響評価と承認を経て行う管理です。
構成管理は機器やソフトの構成情報をCMDBという台帳に集め、変更時の影響を把握する土台になります。
台帳があれば『これを変えると、あれに影響するなぁ』って分かるんですねぇ。
ところでサービスの『品質』ってどう約束するの?
『たぶん大丈夫』じゃ不安じゃん。
そこでSLAです。
『稼働率99.9%以上』のように品質を数値で約束する合意書で、提供者と顧客の間で結びます。
SLAは次の記事で詳しくね。
あと、ITILを組織がきちんと実践できていると認める国際規格としてISO/IEC 20000 (ITサービスマネジメントの国際規格)もあるわ。
名前だけ覚えておきましょう。
ITIL=お手本集、ISO/IEC 20000=ちゃんとできてる証明書、って感じか。
スッキリした!
確認クイズ
ITILにおいて、「サービス停止時にできるだけ早く正常な状態へ復旧させる」ことを目的とするプロセスはどれか。
- 問題管理
- インシデント管理
- 変更管理
- 構成管理
こたえを見る
正解: 2. インシデント管理
正解はインシデント管理。サービスが正常に使えない状態を、迅速に復旧させる(応急処置)のが目的です。問題管理は根本原因を突き止めて再発を防ぐ活動なので目的が異なります。変更管理はシステム変更を安全に統制する活動、構成管理は機器やソフトの構成情報を把握する活動で、いずれも復旧そのものを目的とはしません。