システム開発で発注者と受注者の用語・プロセスをそろえる共通フレーム (SLCP-JCF) を学びます。同じ言葉で会話するための「業界共通のものさし」です。
共通フレームがそろえる用語とプロセス
ねえ先生、システム開発の本読んでたら『工程』とか『フェーズ』とか『プロセス』とか出てきて、会社によって呼び方バラバラじゃん。
これ困らないの?
ふふ、いいところに気づいたわね。
発注する側とつくる側で言葉の意味がズレると、トラブルのもとになるの。
だから日本ではそれをそろえる『ものさし』が用意されているのよ。
それが共通フレーム(SLCP-JCF) よ。
発注者・受注者・利用者みんなが同じ言葉で話せるようにするための共通の物差しね。
えすえるしーぴー…なんだか呪文みたいですぅ。
なんの略なのぉ?
SLCPは Software Life Cycle Process の略です。
ソフトウェアの『企画→開発→運用→保守→廃棄』という一生 (ライフサイクル) を、作業の流れとして決めたものですね。
あっ、ライフサイクルって『一生』のことなんですねぇ。
人間でいう生まれてから…みたいなぁ。
そうそう、その感覚で合っているわ。
ソフトにも一生があって、その各段階で『誰が何をするか』を共通フレームが言葉でそろえてくれるの。
なんで発注側と作る側でわざわざ言葉そろえる必要あるの?
マジでそんな大事?
とても大事です。
補足すると、開発の失敗の多くは技術不足ではなく認識ギャップが原因です。
『要件定義』が指す範囲ひとつ取っても、両者で違えば後で大もめになります。
あー、頼んだ料理と出てきた料理が全然違う、みたいなやつね。
マジか、それは揉めるわ。
ISO/IEC 12207との関係
似たような外国の規格ってないんですかぁ?
日本だけって珍しい気がしますぅ。
元になった国際規格があるのよ。
ISO/IEC 12207ね。
これを日本のIT業界向けに使いやすく仕立て直したのが共通フレームなの。
つまり関係は『国際標準 = ISO/IEC 12207』、『その日本版 = 共通フレーム (SLCP-JCF)』です。
現在広く参照されているのは共通フレーム2013という版ですね。
主・支援・組織の3層プロセス
中身ってどうなってるの?
めっちゃ細かいルール集って感じ?
大きく3つの階層に分かれています。
プロジェクト本体を回す主ライフサイクルプロセス、それを助ける支援ライフサイクルプロセス、組織全体を整える組織に関するライフサイクルプロセスの3層構造です。
うぅ、3層って言われても頭がこんがらがりますぅ…。
ふふ、たとえで整理しましょうか。
料理店にたとえると、主プロセスは『仕入れ→調理→提供』という料理そのものの流れ。
支援プロセスは『レシピを書き残す・味見をする』こと。
組織プロセスは『店長が新人を教育する・店のやり方を改善する』こと。
役割が違うのよ。
なるほど、めっちゃ分かりやすいじゃん!
主プロセスが主役で、あとはサポートと裏方ってことね。
その主プロセスの内訳が『取得・供給・開発・運用・保守』です。
発注する側の活動が取得、受注して納める側の活動が供給、と役割で分かれているのがポイントですね。
支援プロセスで特に試験に出やすいのが構成管理よ。
どのファイルがどの版で、誰がいつ何を変えたか、を体系的に管理する活動ね。
GitHub などで使う Git も、この構成管理を支える道具の一つなの。
Git、聞いたことありますぅ!
あれってちゃんと役割があったんですねぇ。
関連知識体系とテーラリング
関連して、まぎらわしい知識体系も整理しておきましょう。
SWEBOKはソフトウェア工学、SQuBOKは品質の知識体系です。
共通フレームとは目的が別物ですね。
うわ、アルファベットの似たやつ多すぎ問題。
これ絶対テストで引っかかるやつじゃん…どう覚えればいいの?
主題で1対1にひもづけるのが一番早いわ。
共通フレーム/SLCP = ライフサイクルの流れ、PMBOK = プロジェクトマネジメント、SWEBOK = 工学、SQuBOK = 品質、ITIL = ITサービス運用。
『何の専門か』だけ押さえれば迷わないのよ。
ライフサイクル・PM・工学・品質・運用、っと。
役割でセットにすればいいのか。
最後にもう一つ重要な点を。
共通フレームは『そのまま全部使え』という規格ではありません。
プロジェクトの規模や特性に合わせて使うプロセスを取捨選択するテーラリングが前提です。
テーラリングって…テーラー、お洋服を仕立てる人のことですよねぇ?
じゃあ、体に合わせて服を直すみたいなことなのぉ?
まさにそれ。
共通フレームという既製の型紙を、自分のプロジェクトの体型に合わせて『この工程は省く』『順番を変える』と仕立て直す。
それがテーラリングよ。
じゃあ共通フレームって、ガチガチのルールじゃなくて『参考にする見本』みたいな感じなんだね。
意外と自由じゃん。
そういうこと。
整理すると、共通フレームは『発注者と受注者の言葉をそろえる日本版のものさし』で、土台は ISO/IEC 12207。
中身は主・支援・組織の3層、そしてテーラリングして使う。
この4点を押さえれば試験はばっちりよ。
確認クイズ
ソフトウェア開発において、発注者と受注者が共通の用語・プロセスで会話できるよう日本で標準化されたガイドラインはどれか。
- PMBOK
- ITIL
- 共通フレーム (SLCP-JCF)
- SWEBOK
こたえを見る
正解: 3. 共通フレーム (SLCP-JCF)
正解は共通フレーム (SLCP-JCF)。国際規格 ISO/IEC 12207 を日本向けに整備したもので、発注者・受注者間の認識合わせを目的とします。PMBOKはプロジェクトマネジメント、ITILはITサービス運用、SWEBOKはソフトウェア工学の知識体系で、いずれも目的が異なります。