大きなプロジェクトも、いきなり全部はこなせません。まず作業を小さく分けて、それをカレンダーに並べる。この「分ける」と「並べる」を担うのがWBSとガントチャートです。プロジェクトマネジメント分野の定番ツールを、関係まで含めてやさしく整理しましょう。
今日は文化祭の準備で考えてみましょう。
『模擬店をやる!』って決めたとして、いきなり当日うまくいくと思う?
無理無理。
メニュー決めて、材料買って、看板作って…ってやること山ほどあるじゃん。
そうよね。
その『やること』を、大きなかたまりから小さな作業まで段々に分けて並べた図がWBSなの。
補足すると、WBSは日本語で『作業分解構成図』です。
Work Breakdown Structure、つまり作業(Work)を分解(Breakdown)した構造(Structure)で、名前がそのまま意味を表しています。
分けるって、どのくらいまで細かくするんですかぁ?
これ以上分けても意味がない、という最小の作業単位まで分けるの。
その末端の単位をワークパッケージと呼ぶわ。
ワークパッケージが大事なのは、ここで初めて工数・コスト・期間を見積もるからです。
大きいかたまりのままだと『だいたい3日』しか言えませんが、末端まで割れば一つずつ正確に積み上げられます。
あー、なるほど。
ツリー構造で枝の先っぽまで分けて、その先っぽで見積もるってことね。
そのとおり。
例えばWebサイト構築なら、要件定義・設計・開発・テスト・リリースという大分類。
設計の中に画面設計・DB設計・API設計。
画面設計の中にホーム画面・商品一覧画面…と、どんどん枝分かれしていくの。
わぁ、本当に木みたいですぅ。
でも、分けただけだと『いつやるか』はわからないですよねぇ?
ふふ、鋭いわね。
そこで登場するのがガントチャートよ。
ガントチャートは、横軸に時間(日付)、縦軸に作業を並べて、棒の長さで各作業の期間を表します。
棒がいつ始まっていつ終わるかが一目でわかるんですね。
あ、それ見たことある!
塾の予定表とか、棒がにょーんって伸びてるやつ。
アレ、ガントチャートだったんだ。
マジか。
そうそう、身近にあるのよ。
20世紀初頭、1910年代にヘンリー・ガントさんが考案した古い道具なんだけど、シンプルで強力だから今も現役なの。
実務では棒の上に進捗を示す帯を重ねて『どこまで終わったか』も表せます。
予定と実績を一枚で見比べられるのが強みです。
じゃあWBSとガントチャートは、いつもセットで使うんですかぁ?
いい質問ね。
WBSで作業を分ける → 各ワークパッケージの期間を見積もる → ガントチャートで日程に並べる。
この『分けて → 並べる』の流れが基本よ。
WBSが献立リストで、ガントチャートが調理タイムスケジュール、って感じか。
役割が違うんだね。
うまい例えですね。
ただしガントチャートには弱点があります。
『この作業が終わらないと次に進めない』という作業同士の前後関係(依存関係)が、棒を並べただけでは見えにくいんです。
依存関係…ですかぁ?
例えば『塗装は乾燥が終わってから』みたいな、順番の縛りのことね。
それを矢印でハッキリ表すのがアローダイアグラムよ。
アローは英語で矢印という意味です。
矢印で依存関係をつなぐので、全体の中で一番余裕のない経路、つまりクリティカルパスも計算できます。
なるほど、ガントチャートの苦手なところをアローダイアグラムが補うってことか。
役割分担になってるんだね。
そういうこと。
アローダイアグラムとクリティカルパスは次の記事で詳しく扱うわね。
最後に整理しましょう。
作業を階層的に分けるのがWBS、その末端がワークパッケージで見積もりの単位。
並べて進捗を見るのがガントチャート、前後関係を示すのがアローダイアグラム。
『分ける・並べる・つなぐ』で覚えてね。
分ける・並べる・つなぐ…覚えやすいですぅ!
確認クイズ
プロジェクトの作業を、大きなかたまりから末端の小さな作業まで階層的に分解して構造化した図を何と呼ぶか。
- ガントチャート
- アローダイアグラム
- WBS
- フローチャート
こたえを見る
正解: 3. WBS
WBS(作業分解構成図)は、作業を階層的(ツリー構造)に分解して構造化した図で、最末端のワークパッケージで見積もりを行います。ガントチャートは横軸に時間・縦軸に作業を並べた進捗可視化の図、アローダイアグラム(PERT図)は作業の依存関係を矢印で表す図です。フローチャートは処理の流れを表す図で、作業の階層分解には使いません。