企業がもうかっているか、つぶれそうじゃないか。それを数字で見せてくれるのが「財務諸表」です。難しそうに見えても、ITパスポートで問われるのはB/SとP/Lの読み方など、ごく基本だけ。身近なたとえで一気に得意分野にしましょう。
うっ、会計って出た…あたし数字見るとシャッター下りるタイプなんだよね。
マジ無理じゃん。
ふふ、安心して。
ITパスで問われる会計はお小遣い帳の延長くらいよ。
難しい仕訳は出ないわ。
まず覚える代表は2つ。
貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)。
この2枚を読めれば半分以上クリアね。
補足すると、B/Sはある一時点の財政状態を写した「写真」、P/Lは1年間の経営成績を映す「動画」のような関係です。
写真と動画ぁ…それなら、ほのかにもイメージできますぅ。
あー、B/Sは『今いくら持ってる?』のスナップ、P/Lは『1年でいくら稼いだ?』のドキュメンタリーね。
急にわかったかも。
その通り。
じゃあB/Sの中身から。
左側にあるのが資産、右側が負債と純資産よ。
ん?
左と右で何が違うの?
同じお金じゃん。
左は『お金を何に使っているか(運用)』、右は『どこから集めたか(調達)』です。
借りた100万円で機械を買えば右に負債100万・左に資産100万。
出どころと使い道だから、左右の合計は必ず一致します。
天秤のように左右が等しいから『バランスシート』。
覚え方は資産=負債+純資産よ。
なるほど、左右が必ずイコールになる方程式か。
それなら数字嫌いでもいけるじゃん。
次はP/L。
利益は一気に出さず、段階的に計算するの。
売上総利益から始まって、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、そして当期純利益の5段階よ。
ポイントは違いです。
営業利益は『本業のもうけ』、経常利益は『本業+受取利息など財務活動も含めた、毎年くり返す実力』。
当期純利益は『税金や臨時の損益まで引いた最終結果』。
だんだん範囲が広がっていくイメージですね。
5段階…ほのか、順番がこんがらがっちゃいそうですぅ。
なら『総・営・経・税・純(そう・えい・けい・ぜい・じゅん)』と唱えてみて。
上から下へ、関係ない費用を引いていくほど範囲が広がる、と覚えれば大丈夫よ。
計算問題も出るんでしょ?
あたしそこが一番こわいんだけど。
出るとしたら損益分岐点ね。
固定費÷(1-変動費率)で求めるの。
固定費と変動費を分けるのがコツよ。
公式だけだとピンとこないな。
先生、具体例ちょうだい!
数字入れてくれると見える気がする。
いいわよ。
固定費300万円、商品単価1000円、1個あたり変動費400円としましょう。
変動費率は400÷1000=40%。
損益分岐点の売上高=300万÷(1-0.4)=300万÷0.6=500万円。
売上500万円なら単価1000円で5000個。
つまり5000個売れてトントン、5001個目から黒字です。
固定費が高い会社ほど、この分岐点が高くなる、と読み取れますね。
おお、数字が物語になった!
5000個でやっとプラマイゼロか。
これなら覚えられるじゃん。
最後にもう1枚。
キャッシュフロー計算書(C/F)があるわ。
B/S・P/L・C/Fを合わせて『財務三表』と呼ぶのよ。
あれ?
もうけが出てるのに、わざわざ現金の表もいるんですかぁ?
そこが大事なんです。
P/Lで利益が出ていても、売上が売掛金(後払い)ばかりだと手元に現金がない、ということが起こります。
『勘定合って銭足らず』、いわゆる黒字倒産ですね。
だから現金の流れを別に見るC/Fが必要なんです。
マジか、黒字なのにつぶれるとか怖すぎ。
利益と現金は別物なんだね。
そういうこと。
最後に比率を2つ。
会社の安全性を見る自己資本比率、もうける効率を見るROEやROAが頻出よ。
違いは分母です。
ROEは自己資本、ROAは総資産。
どちらも%が高いほど効率的で、『E=Equity(自己資本)』と結びつけると取り違えにくいですよ。
整理するわね。
B/Sは『財産の今の状態(写真)』、P/Lは『1年のもうけ(動画)』、C/Fは『現金の出入り』。
利益と現金は別物で、安全性は自己資本比率、効率はROE・ROAで見る。
ここまで押さえれば会計はばっちりよ。
確認クイズ
損益分岐点売上高を求める計算式として正しいものはどれか。
- 固定費 × 変動費率
- 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
- 変動費 ÷ 固定費
- 固定費 + 変動費
こたえを見る
正解: 2. 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
正解は固定費 ÷ (1 - 変動費率)です。売上高から変動費を引いた限界利益が、ちょうど固定費と等しくなる売上高が損益分岐点だからです。たとえば固定費300万円・変動費率40%なら300万÷0.6=500万円。固定費×変動費率や変動費÷固定費、固定費+変動費はいずれも限界利益の考え方に合わず、損益分岐点は求められません。