マンガもアプリも会社のロゴも、すべて誰かの「知的財産」。著作権・特許権・商標権など、似ているようで守るものも発生のしかたも違う権利を、具体例とともにスッキリ整理しましょう。
せんせぇ、知的財産権って…要するに著作権のことですよねぇ?
ふふ、惜しいわね。
著作権は知的財産権の中の一つなのよ。
知的財産権は大きく「産業財産権」「著作権」「その他」の3つに分かれるの。
なんで分けるの? 全部まとめて『考えた人のもの!』でよくない?
気持ちはわかるけど、守りたい物が違うのよ。
新しい技術を守るのか、作品を守るのか、ブランド名を守るのか。
目的が違えば、ルールも変わるの。
補足すると、産業財産権はさらに4つに分かれます。
特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つですね。
実用新案ってなんかマイナーじゃん。
特許とどう違うの?
特許は『高度な発明』、実用新案は『ちょっとした工夫』というイメージです。
たとえば回転する歯ブラシの新機構なら特許、持ちやすい形に窪みをつけた程度なら実用新案、というように対象のレベルが違うんですよ。
なるほどぉ。
じゃあ商標って…キャラクターの名前とかですかぁ?
そう、商品名やロゴ、お店の名前ね。
商標を独占できる権利が商標権よ。
ニセモノ対策に欠かせないの。
この4つって、誰に申請すんの? 役所?
鋭いわね。
産業財産権はぜんぶ特許庁に出願して、登録されてはじめて権利が生まれるの。
これを方式主義というのよ。
一方で著作権は手続きが要りません。
創作した瞬間に自動で発生します。
これを無方式主義といいます。
えっ、ほのかが今ノートに描いた落書きにも、もう著作権があるってことですかぁ?
ふふ、そうなのよ。
自分の考えや気持ちを創作的に表現したものなら、登録しなくても描いた瞬間に著作権が発生するの。
出願も登録料もいらないわ。
手続きいらないのラクじゃん! 覚え方ある?
『産業財産権は手続きアリ(方式)、著作権は手続きナシ(無方式)』とセットで覚えると混同しません。
試験では『著作権の発生時点』が頻出ですよ。
保護期間も整理しておきましょう。
特許権は出願日から20年、実用新案権は10年、意匠権は25年、商標権は登録から10年だけど更新できるから実質ずっと使えるの。
著作権は原則、著作者の死後70年までです。
以前は50年でしたが延長されたので、古い参考書の数字に注意ですね。
数字がいっぱいで頭がぐるぐるしますぅ…
無理に丸暗記しなくて大丈夫。
『特許20・意匠25・実用新案10、商標は更新で半永久』、著作権だけ毛色が違って『死後70年』。
この対比で覚えるとラクよ。
あ、そうだ。
前にニュースで『営業秘密の持ち出し』って見たけど、あれも知的財産?
いいところに気づいたわね。
それが「その他」の代表、不正競争防止法で守られる営業秘密よ。
営業秘密と認められるには3要件が必要です。
『秘密管理性(秘密として管理)』『有用性(役に立つ)』『非公知性(世に知られていない)』の3つで、ひとつでも欠けると保護されません。
へぇ。
じゃあ最後にプログラム! あたしアプリ作ってみたいんだけど、コードって著作権で守られんの?
守られるわよ。
プログラムは立派な著作物なの。
ただし注意点があって、守られるのは『書かれたコード(表現)』であって、アルゴリズムという考え方自体は守られないのよ。
つまり同じアルゴリズムを、別の人が自分の言葉でゼロから書き直すのは著作権侵害になりません。
逆にコードを丸ごとコピーすればアウトです。
アイデアは自由、書き方は守られる…なんだか奥が深いですぅ。
マジか。
じゃあ手順を独占したいなら、著作権じゃなくて特許を取りゃいいってこと?
そういうこと! 技術的なアイデアそのものを独占したいなら特許、表現を守りたいなら著作権。
守りたい物に合わせて使い分けるのが知的財産権の世界なのよ。
確認クイズ
著作権の発生時点として正しいものはどれか。
- 特許庁へ出願したとき
- 著作物を創作したとき
- 文化庁へ登録したとき
- 著作物を公表したとき
こたえを見る
正解: 2. 著作物を創作したとき
著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生します(無方式主義)。出願も登録も公表も不要です。特許・実用新案・意匠・商標は特許庁への出願と登録で発生する(方式主義)点と対比して覚えましょう。