新しいシステムは、いきなり作り始めるわけではありません。「何のために作るか」を決める企画段階から、外部のベンダー(開発会社)を選ぶ調達まで、決まった順番があります。RFI・RFP・RFQの違いと、請負契約・準委任契約の違いを、家のリフォームにたとえて整理しましょう。
システム作るのって、いきなり設計から始めるんじゃないの?
ふふ、それだと失敗するのよ。
まずはシステム化計画。
経営目標と照らして『そもそも作る価値があるか』を見極める段階ね。
作る前に、作るかどうかを考えるんですねぇ。
そうです。
ここでは技術的・経済的・運用的に実現できるかという実現可能性も評価します。
補足すると、英語でフィージビリティスタディとも呼ばれますね。
計画が固まったら次は要件定義。
ここで『どんな機能が要るか』を具体的に書き出すの。
そこで出てくるのが機能要件と非機能要件ってやつ?
はい。
機能要件は『何をするか』、非機能要件は『どのくらい上手く動くか』です。
んん…その2つ、いつも混ざっちゃうんですぅ…
じゃあ『検索できる』が機能要件で、『3秒以内に結果が出る』が非機能要件って感じ?
めいちゃん、まさにそれよ。
機能=what、非機能=how well。
非機能には『速さ(性能)』『止まらなさ(可用性)』『安全さ(セキュリティ)』『直しやすさ(保守性)』が入るわ。
whatとhow wellで分けるんですねぇ。
これなら覚えられそうですぅ。
要件が見えたら、いよいよ外部の会社に頼む調達フェーズよ。
ここが今日の本題ね。
調達はRFI→RFP→RFQの順に進むのが基本です。
アルファベット3つ、ぜんぶ似てて無理…どう区別すんの?
家のリフォームで考えるとわかりやすいわ。
まずRFIは『お宅、どんな工事できます?
施工例見せて』と各社に資料を求める段階。
情報提供依頼ね。
次のRFPは『うちのキッチンをこう直したい。
プランを出して』と具体的な提案を求める段階。
提案依頼よ。
最後のRFQは『そのプランでいくら?』と価格の見積りを求める段階。
見積依頼ね。
情報 → 提案 → 値段、の順なんですねぇ。
だんだん具体的になっていきますぅ。
覚え方として、頭文字で『I情報・P提案・Q見積』と唱えると順番も意味も固定できます。
なお、各社から見積りを取って比べることを相見積りと言います。
見積り比べるなら、結局いちばん安いとこに頼めばよくない?
それが落とし穴です。
価格だけでなく提案内容・技術力・実績・保守体制を含めて選びます。
判断軸がQCD、品質・コスト・納期のバランスですね。
安かろう悪かろうじゃ困るものね。
さて、ベンダーが決まったら契約。
ここに2種類あるのよ。
請負契約と準委任契約です。
請負には完成義務があり、準委任にはありません。
完成させる約束があるか、ないか…の違いなんですねぇ。
じゃあ作ったシステムにバグが出たら、どっちの責任になるの?
請負では契約不適合責任が問われるわ。
約束した品質と違えば直す責任があるの。
準委任は『きちんと作業すること』が目的だから、原則この責任は負わないわね。
補足すると、契約不適合責任は2020年4月施行の改正民法で旧『瑕疵担保責任』から名称が変わった点が試験で狙われます。
改正で名前が変わったのか。
マジか、ひっかけで出そうじゃん。
そうね。
最近は選び方そのものにも社会的な視点が入っているわ。
環境負荷の低い製品を選ぶグリーン購入や、取引先の労働環境まで配慮するCSR調達ね。
値段や性能だけじゃなくて、環境や人にも目を向けるんですねぇ。
ふふ、そのとおり。
最後に整理ね。
流れは『計画→要件定義→調達(RFI→RFP→RFQ)』。
要件は機能=what・非機能=how well。
契約は請負(完成義務あり)と準委任(なし)。
この3点を押さえれば調達は怖くないわ。
確認クイズ
候補ベンダーに対し、自社の課題に対する具体的な解決策の提案を依頼する文書はどれか。
- RFI
- RFP
- RFQ
- SOW
こたえを見る
正解: 2. RFP
RFP(Request For Proposal:提案依頼書)は、ベンダーに機能・技術・体制・スケジュールを含む具体的な提案を求める文書なので正しい。RFIは候補を絞るための情報提供依頼、RFQは確定内容に対する見積依頼、SOW(作業範囲記述書)は契約後に作業の範囲を定義する文書で、いずれも目的が異なる。調達の順番は『RFI→RFP→RFQ(情報→提案→見積)』と覚える。