「経営の方針」と「現場のシステム」がバラバラだと、会社全体のIT投資はムダだらけになります。その2つをきちんとつなぐ設計図がエンタープライズアーキテクチャ (EA)。4つの層 (BA/DA/AA/TA) と、現状から理想へ進む考え方を、先生と3人の会話でやさしく整理します。
せんせぇ、今日のテーマの『EA』って、なんだか強そうな名前ですぅ…
ふふ、強そうね。
EAは『エンタープライズアーキテクチャ』の略よ。
会社全体を一枚の設計図で見渡して、経営の方針と情報システムをそろえる手法なの。
設計図って、家を建てるときのアレ?
そう、それに近いわ。
家を建てるとき、間取り図と電気の配線図と水道の図面がバラバラだったら困るでしょう? EAは会社のIT版の総合設計図、と思うといいわ。
補足すると、EAの目的は『経営戦略と情報システムの整合性をとること』です。
部署ごとに勝手にシステムを作ると、似たような仕組みが乱立してムダが増えますからね。
あー、それマジでありそう。
営業も経理も別々に顧客リスト持ってる、みたいな。
そのとおり。
だからEAでは会社を4つの層に分けて整理するの。
BA・DA・AA・TAの4つよ。
4つも…覚えられるか不安ですぅ…
頭文字つなげて『B・D・A・T』! 『ビジネス→データ→アプリ→テクノロジー』の順で、上から下に降りていく感じじゃん?
いい覚え方ですね。
中身を一言ずつ言うと、BAは業務プロセスや組織のフロー、DAはどんなデータをどう持つかのデータモデル、AAはそれを動かすアプリの機能構成、TAはサーバやネットワーク、OSといった基盤技術です。
上が『仕事のやり方』で、下にいくほど『コンピュータの中身』に近づくんですねぇ。
理解が早いわね。
上の層が『何をしたいか (業務)』、下の層が『どう実現するか (技術)』。
BAの業務が変われば、その下のDA・AA・TAも見直す、というふうに連動しているのよ。
じゃあ実際にEAを作るときって、いきなり理想の設計図を描くの?
いいえ、まずAs-Is=今の姿を描くの。
そのあとTo-Be=目指す姿を描いて、その差を埋める計画を立てるのよ。
この『今』と『理想』の差を洗い出す作業をギャップ分析と呼びます。
差が見えれば、移行計画 (どの順で何を変えるか) が立てられますね。
あー、テストの点が今60点、目標90点、差の30点をどう埋めるか考える、みたいなことか。
ふふ、まさにそれよ。
会社のシステムでも同じ考え方をするの。
ところで…EAと似た言葉で『SOA』っていうのも見た気がするんですけどぉ、同じものですかぁ?
いい質問ね。
違うものよ。
SOAは『サービス指向アーキテクチャ』。
業務の機能を部品 (サービス) にして、組み合わせてシステムを作る設計思想なの。
さらに細かく部品化したのがマイクロサービスです。
EAが『会社全体の設計図』なのに対し、SOAやマイクロサービスは『システムの作り方の方針』。
階層が違う、と整理すると混乱しません。
なるほどぉ。
EAが地図で、SOAは家の建て方ってことですねぇ。
プラモデルみたいに部品を組み立てるのがSOAって覚えとこ。
近年はDX推進の文脈でEAが注目されています。
古いシステムを可視化し、デジタル戦略に沿って作り直す土台になるからです。
古いシステムって、レガシーってやつ? 名前は聞いたことあるけど。
そう。
レガシーシステムは中身がブラックボックス化して保守が大変なの。
経済産業省は、刷新が遅れると大きな経済損失が出ると2025年の崖という言葉で警告したわ。
崖って言葉、ちょっとこわいですぅ…
だからこそ、EAで全体像を描いて計画的に作り替えることが大事なのよ。
最後に整理するわね。
EAは会社全体のIT設計図で、BA・DA・AA・TAの4層。
As-Isからギャップ分析を経てTo-Beへ。
SOAやマイクロサービスは作り方の方針で、別の話。
ここを押さえれば試験はバッチリよ。
B・D・A・Tと、現状→理想→ギャップ! あたしでも覚えられたじゃん。
確認クイズ
エンタープライズアーキテクチャ (EA) の4層に含まれないものはどれか。
- 業務アーキテクチャ (BA)
- データアーキテクチャ (DA)
- セキュリティアーキテクチャ (SA)
- 技術アーキテクチャ (TA)
こたえを見る
正解: 3. セキュリティアーキテクチャ (SA)
EAの4層はBA (業務)・DA (データ)・AA (アプリケーション)・TA (技術)です。セキュリティは各層を横断して考慮される重要な要素ですが、独立した『SA』としてEAの標準4層に数えられることはありません。BA・DA・TAはいずれも正しい4層の構成要素なので、含まれないのはSAです。