技術開発戦略 - イノベーションのジレンマ

MOT・イノベーションのジレンマ・両利きの経営・リーンスタートアップ・デザイン思考・PoCなど、技術開発戦略の頻出用語を会話でわかりやすく整理。

編集・検証: ITパスポートスタディ編集部 公式情報: IPA ITパスポート試験公式ページ 制作・検証方針

強い会社ほど、なぜ新しい技術に足元をすくわれるのか。技術開発戦略の中心テーマ「イノベーションのジレンマ」を入り口に、MOT・両利きの経営・デザイン思考・PoCまで、よく出る用語をまとめて整理します。

小夜川 ほのか(普段) 小夜川 ほのか

技術開発戦略って、白衣を着た人が研究所にこもってるイメージですぅ…

紫垣 こはる 先生(笑顔) 紫垣 こはる 先生

ふふ、研究のことも含むけれど、もっと広いのよ。
技術を使って『どうやって競争に勝つか』を考えるのが技術開発戦略。
研究そのものより、経営の話なの。

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

その視点をまとめた分野がMOTです。
直訳すると技術経営ですね。

星見 めい(普段) 星見 めい

へぇ。
じゃあ技術が強い会社は、ほっといても勝てるってこと?

紫垣 こはる 先生(普段) 紫垣 こはる 先生

それがそうとも言えないのよ。
むしろ強い会社こそ負けることがある、という話があってね。
それがイノベーションのジレンマよ。

星見 めい(びっくり) 星見 めい

マジか。
優良企業が負けちゃうの?
なんでさ。

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

鍵は2種類のイノベーションの対比です。
既存製品をコツコツ良くしていくのが持続的イノベーション。
ルールごと変えてしまうのが破壊的イノベーションです。

紫垣 こはる 先生(普段) 紫垣 こはる 先生

優良企業は『お得意様の声』に真面目に応えるでしょう?
だから性能向上=持続的イノベーションに集中する。
その間に、最初は性能が低くても安くて手軽な破壊的な技術が、下からじわじわ市場を奪っていくの。

小夜川 ほのか(びっくり) 小夜川 ほのか

えっと…最初はショボいから油断してたら、いつの間にか抜かれてた、みたいなことですかぁ?

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

まさにそれです。
具体例だと、フィルムカメラに対するデジタルカメラ、店舗レンタルに対する動画配信。
最初は画質や品揃えで劣っていても、安さや手軽さで一気に逆転しました。

星見 めい(笑い) 星見 めい

あー、わかる。
ガラケーがスマホにやられたのも同じ感じじゃん。

紫垣 こはる 先生(笑顔) 紫垣 こはる 先生

いい例ね。
覚え方は『持続=今のお客さんの満足、破壊=新しいお客さんの開拓』。
守りに偏ると足元をすくわれる、と覚えておくといいわ。

小夜川 ほのか(しょんぼり) 小夜川 ほのか

じゃあ、どうすれば負けずに済むんですかぁ…?

紫垣 こはる 先生(普段) 紫垣 こはる 先生

対策の代表が両利きの経営よ。
今の事業を磨く『深化』と、新しい芽をさがす『探索』を、両方やるの。

星見 めい(笑い) 星見 めい

右手で守って左手で攻める、みたいな?
両方って欲張りじゃん!

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

だから難しいんです。
探索のやり方として頻出なのがリーンスタートアップ。
小さく作って試し、ダメなら方向転換(ピボット)する短いサイクルです。
最小限の試作品をMVPと呼びます。

紫垣 こはる 先生(笑顔) 紫垣 こはる 先生

社外の力を借りるオープンイノベーションも探索の王道ね。
全部を自前でやろうとしないのがコツ。

小夜川 ほのか(普段) 小夜川 ほのか

あの…『ユーザーの気持ちになって考える』みたいなのも、聞いたことありますぅ。

紫垣 こはる 先生(普段) 紫垣 こはる 先生

それはデザイン思考ね。
ユーザー中心で、まず作って試して、また直す。
この『反復』が肝なのよ。
IDEO社が広めた手法として有名だわ。

星見 めい(普段) 星見 めい

とりあえず作って試すって、さっきのリーンスタートアップと似てるじゃん?

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

考え方は通じます。
本格展開の前に『そもそも実現できるか』を小さく試すのがPoCです。
デザイン思考やリーンが『作って試す』姿勢全般なら、PoCは『実現可能性を確かめる検証フェーズ』を指す、と区別すると整理しやすいですよ。

小夜川 ほのか(笑顔) 小夜川 ほのか

なるほどぉ。
試す系の言葉がいっぱいで混ざってましたぁ。
スッキリしました!

紫垣 こはる 先生(笑顔) 紫垣 こはる 先生

最後にもう一組。
大学の研究を企業へ橋渡しするTLOや、大学と企業が手を組む産学連携も、技術開発戦略の重要キーワードよ。

蜂谷 まこと(普段) 蜂谷 まこと

特にAIや量子コンピュータ、バイオなど、基礎研究から実用化まで長くかかるディープテックの分野では、産学連携や計画的なPoCの重みが増しています。

星見 めい(笑顔) 星見 めい

つまり、守りも攻めも欲張って、社外も大学も巻き込んで小さく試せ、ってことだよね。

紫垣 こはる 先生(笑顔) 紫垣 こはる 先生

ふふ、見事なまとめ。
優良企業の落とし穴=イノベーションのジレンマ、その処方箋=両利きの経営と各種の探索手法。
この対比で頭に入れておけば、試験でも迷わないわ。

確認クイズ

優良企業が既存顧客の要望に応じた性能向上に集中するうちに、新しい価値基準の技術に市場を奪われてしまう現象を何と呼ぶか。

  1. 両利きの経営
  2. イノベーションのジレンマ
  3. バリューチェーン分析
  4. PPM
こたえを見る

正解: 2. イノベーションのジレンマ

正解はイノベーションのジレンマ。クリステンセンが提唱した概念で、優良企業ほど既存顧客を重視するあまり破壊的イノベーションへの対応が遅れる現象を指します。両利きの経営はその対策(深化+探索)であって現象名ではなく、バリューチェーン分析は価値連鎖から強みを探す手法、PPMは事業の選択と集中を考える分析手法なので、いずれも別概念です。

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