強い会社ほど、なぜ新しい技術に足元をすくわれるのか。技術開発戦略の中心テーマ「イノベーションのジレンマ」を入り口に、MOT・両利きの経営・デザイン思考・PoCまで、よく出る用語をまとめて整理します。
技術開発戦略って、白衣を着た人が研究所にこもってるイメージですぅ…
ふふ、研究のことも含むけれど、もっと広いのよ。
技術を使って『どうやって競争に勝つか』を考えるのが技術開発戦略。
研究そのものより、経営の話なの。
その視点をまとめた分野がMOTです。
直訳すると技術経営ですね。
へぇ。
じゃあ技術が強い会社は、ほっといても勝てるってこと?
それがそうとも言えないのよ。
むしろ強い会社こそ負けることがある、という話があってね。
それがイノベーションのジレンマよ。
マジか。
優良企業が負けちゃうの?
なんでさ。
鍵は2種類のイノベーションの対比です。
既存製品をコツコツ良くしていくのが持続的イノベーション。
ルールごと変えてしまうのが破壊的イノベーションです。
優良企業は『お得意様の声』に真面目に応えるでしょう?
だから性能向上=持続的イノベーションに集中する。
その間に、最初は性能が低くても安くて手軽な破壊的な技術が、下からじわじわ市場を奪っていくの。
えっと…最初はショボいから油断してたら、いつの間にか抜かれてた、みたいなことですかぁ?
まさにそれです。
具体例だと、フィルムカメラに対するデジタルカメラ、店舗レンタルに対する動画配信。
最初は画質や品揃えで劣っていても、安さや手軽さで一気に逆転しました。
あー、わかる。
ガラケーがスマホにやられたのも同じ感じじゃん。
いい例ね。
覚え方は『持続=今のお客さんの満足、破壊=新しいお客さんの開拓』。
守りに偏ると足元をすくわれる、と覚えておくといいわ。
じゃあ、どうすれば負けずに済むんですかぁ…?
対策の代表が両利きの経営よ。
今の事業を磨く『深化』と、新しい芽をさがす『探索』を、両方やるの。
右手で守って左手で攻める、みたいな?
両方って欲張りじゃん!
だから難しいんです。
探索のやり方として頻出なのがリーンスタートアップ。
小さく作って試し、ダメなら方向転換(ピボット)する短いサイクルです。
最小限の試作品をMVPと呼びます。
社外の力を借りるオープンイノベーションも探索の王道ね。
全部を自前でやろうとしないのがコツ。
あの…『ユーザーの気持ちになって考える』みたいなのも、聞いたことありますぅ。
それはデザイン思考ね。
ユーザー中心で、まず作って試して、また直す。
この『反復』が肝なのよ。
IDEO社が広めた手法として有名だわ。
とりあえず作って試すって、さっきのリーンスタートアップと似てるじゃん?
考え方は通じます。
本格展開の前に『そもそも実現できるか』を小さく試すのがPoCです。
デザイン思考やリーンが『作って試す』姿勢全般なら、PoCは『実現可能性を確かめる検証フェーズ』を指す、と区別すると整理しやすいですよ。
なるほどぉ。
試す系の言葉がいっぱいで混ざってましたぁ。
スッキリしました!
最後にもう一組。
大学の研究を企業へ橋渡しするTLOや、大学と企業が手を組む産学連携も、技術開発戦略の重要キーワードよ。
特にAIや量子コンピュータ、バイオなど、基礎研究から実用化まで長くかかるディープテックの分野では、産学連携や計画的なPoCの重みが増しています。
つまり、守りも攻めも欲張って、社外も大学も巻き込んで小さく試せ、ってことだよね。
ふふ、見事なまとめ。
優良企業の落とし穴=イノベーションのジレンマ、その処方箋=両利きの経営と各種の探索手法。
この対比で頭に入れておけば、試験でも迷わないわ。
確認クイズ
優良企業が既存顧客の要望に応じた性能向上に集中するうちに、新しい価値基準の技術に市場を奪われてしまう現象を何と呼ぶか。
- 両利きの経営
- イノベーションのジレンマ
- バリューチェーン分析
- PPM
こたえを見る
正解: 2. イノベーションのジレンマ
正解はイノベーションのジレンマ。クリステンセンが提唱した概念で、優良企業ほど既存顧客を重視するあまり破壊的イノベーションへの対応が遅れる現象を指します。両利きの経営はその対策(深化+探索)であって現象名ではなく、バリューチェーン分析は価値連鎖から強みを探す手法、PPMは事業の選択と集中を考える分析手法なので、いずれも別概念です。